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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第54章 ◇第五十三話◇気づかれない思惑【恋の行方編】


あの日、早朝に宿を出た馬車は、昼頃にようやく調査兵団の兵舎に到着した。
私が目を覚ました時には、もう兵団服に着替え終わっていたリヴァイ兵長は、結局ずっとソファで眠っていたようだった。
あれから、私は、旧調査兵団本部近くの巨人実験場でハンジ班と一緒に巨人実験に参加している。
ハンジさんがソニー、ビーンと名付けた2体の巨人は、それぞれ個体差や性格があることが分かり、私にとっても興味深い実験内容だった。
巨人も、巨人に嬉々として接触しようとするハンジさんも、とても怖かったけれどー。
リヴァイ兵長も、リヴァイ班と合流してエレンの巨人化実験に忙しそうだ。

「なんで。」

蔑むようなペトラの視線が、痛い。
巨人の実験というより、ハンジさんの暴走をモブリットさんと一緒に止めるのに疲れて兵舎に帰ったら、訓練を終えたペトラと食堂で一緒になった。
リヴァイ兵長の手の傷も塞がり、最近ようやくリヴァイ班の訓練が再開したらしい。
食後、私の部屋にやってきたペトラに、休暇最終日に思いがけず泊りになったときのことを訊かれ、何もなかったと答えたところだ。
そして私は、大好きな友人に蔑むような視線を向けられている。

「いい歳した男と女が同じ部屋で夜を共にして
 どうして何も起きないの?ねぇ、教えて。私にも分かるように教えて。」

ペトラが怖い顔で迫ってくる。
だが、そんなことを言われても、何もなかったものは何もなかったのだ。
本当は私だって、何か間違いのひとつやふたつあったってよかったのではないかとあれからずっと考えている。
だがしかし、何度も言うが、何もなかったものは何もなかったのだから仕方がないじゃないか。
お色気作戦でもすればよかったのか、そうなのか。
そんなことまでして、冷静な顔でスルーされたらどうしたらいいのだ。
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