• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第52章 ◇第五十一話◇アニと不思議な話【恋の行方編】


「アニのお父さんって素敵な話を知ってるんだね。
 私、すごく嬉しかったよ。」

私は、カフェでの話を思い出して言った。
微笑む私を見て、アニはなぜかとても心苦しそうに目を反らした。
不思議に思った私に、アニは言う。

「そうかな。私は父親からその話を聞いた時、絶望したけどね。
 私達はまた、同じ過ちを繰り返していくのかって。」

そう言ったアニの横顔は悲しそうで、私の心まで痛くなる。
この世に生を受けたものすべてが、何かしらの運命を背負って生まれてきているのなら、アニは一体、どんな運命を背負っているのだろう。
胸がギュッとされたみたいに苦しくなったから、私はアニをギュッと抱きしめた。
突然の私の行動に、驚いた顔をしたアニに私は言う。

「さっき、アニから話を聞いた時、私が嬉しかったのは、
 死んでしまった友人にもう一度会えると思ったからだけじゃないよ。」
「他に嬉しいこと何かあった?」
「私達が何度も何度も命を繰り返している理由は、
 もしかしたら、幸せになるためなんじゃないかって思ったからだよ。」
「…幸せに?」

生まれて、死んで、また生まれて、死んでー。
アニは、私達は同じ人生を何度も繰り返していると言った。
でも、なぜ私達はそんなことをしているのだろう。
何度生まれ変わっても、同じ過ちを繰り返し、傷つけあうばかりの争いをしてしまう愚かな人間は、本当に悲しい。
でも、人間は悲しいだけではないのだと、ルルが教えてくれた。
私達は、命がある限り、この世界を美しくしていく義務があるのだ。
でも、私達の一生では時間が足りない。
だから、何度も生まれ変わって、私達は世界を美しくするために戦う。
その度に、私達は間違ってしまって、過ちを犯してしまうけれど、今度こそは、今度こそはー、と。

「次、私達が新しい命をもらって生まれてくるときは、きっともっと美しい世界になっている。
 そうなるように、同じ過ちを犯さないように、生きてる私達が精一杯頑張れば大丈夫。」

私はアニの髪を優しく撫でる。
そうだといいなー。
目を伏せたアニが、小さな声で漏らした心の声。
いつか、アニが心から笑える世界が来ますようにー。
/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp