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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第41章 ◇第四十話◇それぞれの眠れない夜【調査兵団入団編】


作戦会議室から出たペトラは、後ろからリヴァイに声をかけられた。
立ち止まり振り返り、右手と右腕に包帯を巻かれた痛々しい彼の姿に胸が痛む。

「今夜も、を頼む。」
「はい。」

ルルが戦死した日、ペトラのもとへやってきたリヴァイは、エレンのことは自分達に任せてのそばにいてやってくれと言った。
それから毎日、リヴァイはペトラに同じ言葉を繰り返す。
眠れないだろうから夜も一緒にいてやってくれと言い出したのもリヴァイだった。
だから、あの日からずっと、ペトラは、リヴァイの指示通り、自分の仕事で手を離せない時以外はのそばにいるようにしている。
リヴァイから初めてそんな頼みをされたのは、がリヴァイ班で実践演習をすることになる前日だった。
男の自分よりも同性のペトラの方がも頼りやすいだろう、そんな上官らしい気遣いからだったはずだ。
でも、今は、そんなに悲しそうな顔で、の背中を苦しそうに見送りながら、どんな気持ちでその言葉を口にしているのだろう。

「お前にばかり負担をかけて、悪いな。」
「私は大丈夫です。でも…、リヴァイ兵長はいいんですか?」
「何がだ。」
「昨日のうちに仕事の引継ぎも終わりました。元から荷物も少なかったし、
 予定通り、明日、は兵団を去りますよ。」
「そうだな。」
「いいんですか?…今夜は、リヴァイ兵長がそばにいてあげたら、
 もきっとー。」
「ペトラ。」

リヴァイは、それより先を言うことを許さなかった。
口を噤んだペトラに、リヴァイは意外なことを訊ねた。

「が調査兵団から去ることを、お前はどう思う?」
「私の意見なんて…。」

言ったところで、何かが変わるわけでもない。
が兵団を去ると聞いてからずっと、思うことはあったがそれを声にすることはなかった。
エルド達も同じなのではないだろうか。
一緒にいても、決しての話題を上げない彼らもきっと、同じ気持ちなのだと思う。

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