• テキストサイズ

【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第39章 ◇第三十八話◇仇【調査兵団入団編】


驚いて振り向いたハンジの横を、クレーデル夫妻が走り抜けていく。
そして、父親が、の胸ぐらをつかみ上げた。
つま先立ちの状態で、は相変わらず死んだような目で父親の顔を見上げている。

「お前がッ!!お前がうちの娘を殺したのか!?」
「はい。」
「自分が助かるためにッ!!身代わりに娘を殺したのかッ!?」
「はい。」
「命乞いをする娘を…ッ!お前は…ッ!!見捨てて逃げたのか!?!?」
「そうです。私が、大事な娘さんを殺しました。」

必死に止めようとするハンジ達を意に介す様子もなく、が言い訳もせずにただ淡々と認める度に、怒りに顔を真っ赤にしたルルの父親の瞳に涙が浮かんでいった。
堪える余裕もないその涙が一粒頬を伝う頃、父親の隣では、ルルの母親が両手で顔を覆って泣き喚いていた。
どうして、は認めてしまうのか。
自分のせいでルルが死んだのだと思っているにしたって、父親が言っていたそれは、事実ではないことは一番知っているはずだ。
それに、そんな風に認めたら、父親の神経を逆なでするだけだと、優しいなら分かっていたはずだ。
ルルの父親が本当に聞きたかった答えは何だったのか、分かっていたはずだ。
それとも、心が死んだから、だから、人の気持ちも分からなくなってしまったかー。
の心のない態度にショックを受けていたせいで、ハンジは動きが遅れた。

「このッ!悪魔めッ!!」

ルルの父親がの頬を思いっきり殴り飛ばす。
勢いよく飛んでいったの身体は、地面に叩きつけられた後、数メートル飛ばされてやっと止まった。
殴られた頬は赤く腫れ、切れた唇から血が出ている。
ゆっくりと上半身を起こしたの元へルルの父親が歩み寄る。
周りには兵士が何人もいたのに、彼の気迫に押され、身体が動かなかった。

/ 1058ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp