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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第39章 ◇第三十八話◇仇【調査兵団入団編】


1人の兵士が命を賭して守った兵士を救う手立てを見つけられないまま、その日、調査兵団の兵士達と遺族たちによって弔い式が執り行われていた。
遺体安置所に収容されていた彼らは既に家族の元へ戻っていたから、ここに彼らの身体はもうない。
あるのは、神父の言葉に耳を傾け、目を瞑る兵士や遺族の心に残る彼らの記憶だけだ。

「困りますっ!何度言われても出来ませんっ!!」

焦ったようなモブリットの声が聞こえてすぐ、後ろの方がザワザワしだした。
何か問題が起こったことを理解し、ハンジは騒ぎのする方へと向かった。

「ちょっと、ちょっとっ!どうしたの!?」

弔い式の後方で、モブリットと老夫婦がもみ合いになっていた。
どうやら騒ぎの元はこの老夫婦で、モブリットはなんとか彼らを止めようとしている。
近くにいた兵士がモブリットに加勢しているのだが、何やら怒鳴り声を上げながら強引に弔い式へと入ってこようとする彼らをどうにも止められずにいるようだ。

「あ!アンタは!!ハンジ・ゾエ!!お前のことも許さんからな!!!」

老夫婦の旦那の方が、ハンジに気づいて標的を変えた。
いきなり詰め寄ってきた旦那の隣で、夫人の方も金切り声を上げて何かを叫んでいたが、何を言っているのかは聞き取れなかった。

「これは何の騒ぎ?」

背中を反って、老夫婦からなんとか逃れようとしながら、ハンジはモブリットに訊ねた。

「クレーデルご夫妻です。」

チラりと老夫婦に視線を送った後、モブリットは心苦しそうに彼らの名前を告げた。
信じられなかった。

「え?」
「彼らは、ルル・クレーデルのご両親です。」

ハンジは、慌てて彼らの顔を確認した。
凝視して、そしてやっと、ルルの両親の面影を見つけて、驚愕した。
だって、父親の誕生日パーティーがしたいからというルルの願いを聞き入れて非番を入れてやったのはつい数週間前のことだ。
あの日、ルルにパーティーに招待され、仕事終わりに家に寄らせてもらった。
性格を受け継いたのだろうと感じた真面目そうな父親と綺麗な瞳と髪がソックリの美人な母親は、快くハンジを家に招き入れてくれて美味しい料理をご馳走になった。
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