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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第38章 ◇第三十七話◇親友を亡くす地獄【調査兵団入団編】


とルル、2人は新兵の中でも有名だった。
いつも一緒にいる彼女達は、とても目立っていたから。
兵士とは思えない華奢でか弱そうな身体、それをしなやかに動かして立体起動装置を使いこなし空を飛ぶ姿は誰よりも美しくて目を引いた。
立体起動装置の邪魔になるからと髪を短く切ったり、普段からひとつにまとめている女兵士達が多い中で、訓練や任務中以外はほどいている髪が風に靡く度に甘いフルーツのような匂いが広がって、キラキラ光ってとても綺麗だった。
サシャが彼女達に懐いていたのも、甘い匂いに誘われて寄ってくる昆虫の性質と同じなんじゃないかと思うほど。
それに、何より、2人はいつもお互いを信頼し合っているように見えた。
先輩兵士達は、彼女達のことを異例の新兵コンビだと呼んでいた。
中途半端な時期に入団した同期として、仲間意識が彼女達の間に生まれたのだろうことはクリスタも感じ取っていた。
それはまるで、自分の身体の半分を埋めるみたいで、お互いにお互いが必要なのだと身体と心が理解しているようでー。
それがもし、そんな2人がもしー。
自分の身体の半分を失ったらどうなるのかー。
想像するだけで、胸が締め付けられる。

「キャーーーッ!!」

突然上がった悲鳴に驚いて、クリスタは後ろを振り向いた。
荷馬車が道に落ちていた石に乗り上げたようだった。
運悪く、その荷馬車は遺体を積んでいたようで、倒れた拍子に布が外れて隠れていた遺体が露になっている。
血だらけ、バラバラになった身体が地面に転がり落ちる。
カラネス区の住人達は、悲鳴を上げたり、目を反らしたり、顔色を真っ青にしたり、反応はそれぞれだが、そのすべては彼らの死に背を向けるという共通点を持っていた。

「早く隠せ!!運べ!!!」

慌てて遺体を荷馬車に戻す調査兵や駐屯兵達に混じって、クリスタもすぐに駆け寄り、道に転がる勇敢な兵士に手を伸ばした。

「うそ…。」

遺体の胸から上にかけてかかっていた布が、クリスタが抱え上げたことで滑り落ちた。
片腕と身体の下半分を失ったのに美しいままのその遺体は、死んでも尚、太陽を浴びて綺麗な長い髪をキラキラと光らせていた。
フルーツのような甘い香りが、鼻の奥に痛みとなって届く。

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