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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第32章 ◇第三十一話◇壁外調査初日の洗礼【調査兵団入団編】


「これで全部?!」

巨人の肩にアンカーを刺し、うまく巨人の手の動きから避けながら、大声で訊ねた。

「あっちに2体向かった!たぶん奇行種だと思う!」

慌てて後ろを向くと、巨人の背中が見えた。
2体とも足の速い巨人ではないようで、ゆっくりとさらに後方へと向かっている。
もう1体と交戦している彼女達にはあの巨人を追いかけられない。
私は、ワイヤーを追いかける巨人の五月蠅い手を切り落とし、そのままの流れで巨人のうなじを削いだ。
そして、地面に落ちていく巨人の頭を蹴って飛び上がる。
数メートル前を馬鹿みたいにゆっくり歩いている巨人は、ダーツにするにはとてもいい的だろう。
大きいからとても当てやすい。
さらに、超硬質スチールの刃は都合のいいことに左右に2本入っている。

「そっちには…っ!行かせない!!」

左右の替刃を抜き出した私は、それを大きく振りかぶった。
うなじを切ろうとは思っていない。
そんなリヴァイ兵長みたいなことは出来ない。
せめて、時間を稼げたらー。

「いっけぇぇぇぇぇええッ!!!」

回転しながら速度を上げていく替刃が、奇行種の足を捉えた。
アキレス腱の部分を削がれて、前に倒れてる背中を確認して、私はすぐにルルの元へ向かった。
ルルに介抱されている負傷した兵の様子を見てみると、足の骨が折れているようで自力では立てないようだ。
確か、この近くにはミケ分隊長が配置されていたはずだ。

「マレーネ達がそこにいるのを倒したら、 
 どっちか1人を護衛に頼んで、ルルはエルマを連れてミケ分隊長のところに向かって。」
「え!?は!?」
「私はあっちをやる。」
「1人でそんな!!」
「だから、ミケ分隊長に報告して指示を仰いで。」
「でも―。」
「つべこべ言う暇はないの!!
 アイツらが後ろの仲間にたどり着く前に倒さないと!!!」

焦りで怒鳴ってしまった私に、ルルは口を噤んだ。
そして、奇行種の後ろ姿を確認すると、決意したように頷いた。
ちょうど、彼女達が残りの巨人を倒したようだった。

「それじゃ、よろしくね。」

私が呼ぶよりも先に、テュランが迎えに来た。
一刻も早く巨人の元へ向かいたいようだ。
気持ちは同じか分からないけれど、早く行きたいのは私と同じだ。
彼女達への説明はルルに任せて、私は倒れている奇行種の元へ急いだ。
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