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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第25章 ◇第二十四話◇好きになった人【調査兵団入団編】


だって、さっきまで心配で仕方がないという顔をしていた母が、少しホッとしているのが分かったから。

「それもきっと、大好きなリヴァイ兵士長さんがいてくれたおかげですよ。
 ありがとうございます。」
「さぁ…、それはわからねぇが…。
 自分よりも他の誰かのために生きるってのは、誰にでも出来ることじゃねぇ。
 アンタの娘にはそれが出来る強さがある。」

だから、心配いらないのだというリヴァイ兵長に、母はしきりに礼を繰り返した。
驚いた。
そんなことを言ってくれるなんて。
私の嘘に付き合ってくれているリヴァイ兵長だけれど、褒めるなんてことを嘘や方便で言う人ではないと思う。
本当に、私のことをそう思ってくれているのだろうか。
そんな風に私を見てくれているのだろうか。
母を騙しているこんな時に、私は上がる口角をどうすることも出来ない。

「。」

今度こそ最後の挨拶も済ませて、リヴァイ兵長とハンジさんの後から馬車に向かおうとしたら、母に腕を掴まれた。
驚いて振り返った私に、母は楽しそうな笑みを浮かべていた。

「リヴァイ兵長ってとても素敵な人ね。
 ルーカスくんがいたのに、あなたが好きになってしまったのも分かったわ。」
「そう…、そう、とても素敵な人なの。
 私が好きになった人はね、世界一カッコよくて、優しくて、素敵なのっ。」
「惚気ちゃって。今度、惚気話を聞かせてね。」
「それはダメ~。」

笑って言って、私は母にサヨナラと手を振った。
惚気話なんて出来るわけがないし、振られた話すら出来ない娘を許してほしい。
でも、あなたの娘が好きになった男の人は、とても素敵な人だよ。
好きだと認めた途端、気持ちは止められなくなるものだ。
今までの経験上、それくらい知っていた。
だから、どうしても認めたくなかった。
でも、どうやら、私はまだ、本当の意味での恋を知らなかっただけらしい。
心から想ってしまったら、どんなに理性で気持ちを抑えつけたところで、どうにもならないようだ。
どうしよう。
私は、口が悪いのに優しくて、温かくて、背が小さいのにとても大きいリヴァイ兵長が、心底好きだ。
先に馬車に乗って待っていたリヴァイ兵長が、早くしろと窓から顔を出した。
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