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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第23章 ◇第二十二話◇止まれ【調査兵団入団編】


翌朝、寝不足で隈を作って訓練所にやってきた私をリヴァイ兵長は咎めた。
古城から少し離れたところにある大きな訓練場は、兵舎にあるものとは規模が違いすぎた。
旧調査兵団本部は、まだ志が高かった頃に建てられたものだと聞いている。
それに、今の調査兵団よりもだいぶ兵員の数も多かったらしいから、これくらいの規模が必要だったのだろう。
巨人に立ち向かうために作った大規模な訓練場で、私はリヴァイ兵長から逃げていた。
いや、正しくは、リヴァイ兵長が近づく度に大きくなる心臓の音から、逃げている。
訓練の指導の声がギリギリ聞こえる位置を保つ私に、リヴァイ兵長は気づいていると思う。
でも、敢えて近づいてきて何かを言うことはなかった。

「何度言ったら分かるんだ。ワイヤーの動きをしっかり見ろ。
 死にたくねぇならな。」

リヴァイ兵長は、同じ注意を繰り返した。
私はもともと猪突猛進なところがある。
とにかく巨人に突っ込もうとしていて、自分の動作でワイヤーがどうなるのかの想像力が欠けている―と、訓練を始めた頃からリヴァイ兵長にいつも注意されている。
ハンジさんにも、ナナバさん達にも言われる。
気を付けようとはするのだが、指示を全うするのに夢中になるとどうしても忘れてしまう。
特に、今日は、余計なことを考えてしまって訓練に身が入っていないのを自分でも自覚しているほどだ。
リヴァイ兵長も気づいていないはずがない。
だから、焦っていた。
巨人に模したハリボテを3体倒したら終わり、早く終わらせたい。そう思っていた。

「おい!止まれ!」
「え?」

焦ったようなリヴァイ兵長の怒鳴り声に応えるよりも、巨人に模したハリボテにワイヤーを引っかける方が早かった。
一瞬で反転する身体。目の前は青い空。
地面に叩きつけられる自分を想像して、思わず目をつぶる。
重力はあっという間に、私の背中を地面に叩きつけていたー。
ーはずだった。
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