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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第22章 ◇第二十一話◇触れられない星【調査兵団入団編】


冷たい言い方と冷たい夜風に反して、リヴァイ兵長に強引に渡されたティーカップは温かい。

「あったかい…。」

喉の奥を優しく通り抜ける温かい紅茶よりも、リヴァイ兵長の優しさが温かかった。
でも、それをどう伝えればリヴァイ兵長は素直に受け止めてくれるだろう。
思った通り、ありがとうございます、と礼を言ってもリヴァイ兵長からは気のない返事が返ってきただけだった。

「あの星のどこかに、私の親友がいるらしいんです。」

見上げた夜空には幾千の星が輝いている。
星がすべて、亡くなった誰かなのだとしたら、その数があまりにも多すぎる。

「そうか。」

リヴァイ兵長はいつもの調子で、会話を弾ませようという意識は感じなかったけれど、その声がいつもよりも優しい気がした。

「でも、こんなに遠くちゃ、どこにいるか分かんないですよね。
 世界で一番空に近いところまで飛べたら、また会えるのかな…。」

夜空に手を伸ばしてみたけれど、ひんやりとした夜風が触れるだけだ。
時々、猛烈に襲われる寂しさ。
それを誤魔化すように空を見上げて、私は親友の声を探す。
幸せになってねーそう笑った彼女は、将来安泰の恋人との結婚を破談にしてまで調査兵団に入った私のことをどう思っているのだろう。
もし、ここにヒルラがいるのなら、相談したいこと、愚痴りたいこと、不安なこと、話したいことがたくさんあったのに―。
せめて、夜空の星になった彼女と話したくてこうして夜空を見上げたって、いつもならお喋りなヒルラは、今は聞き役に徹していて何も言ってくれない。
リヴァイ兵長は、何も答えず、談話室を出ていった。
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