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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第165章 ◇第百六十四話◇嗚咽【運命の決戦編】


の両親への悲しみの報告を終えたリヴァイが、漸く自分の執務室兼自室に戻ってきたときは、赤かった空はもう黒くなっていた。
普段ならすぐにクローゼットのハンガーにかけるはずの兵団ジャケットは、雑に脱いだ後に珍しくソファの上に投げ捨てた。
エルヴィンに渡しておこうと思っていた注射の箱は、まだリヴァイが持っていた。
ジーク達の尋問や、ライナーとベルトルトの話を聞くのも明日以降ということになっている。
とりあえず、注射の箱は明日渡せば問題ないだろう。
リヴァイは、デスクの鍵付きの引き出しを開けて、中にしまう。
デスクの上には、2人で一緒に書いた婚姻届がそのまま置かれていた。
勝利して帰ってきたら、少し気は早いけど一緒に出しに行けたらいいと、こっそり考えていた。
そう言ったら、はどんな風に喜んでくれるのだろうー、そんなことをこっそり、考えていたのだ。
でももう、この婚姻届を出すことは叶わなくなってしまった。
巨人を駆逐しても、すべての平和が訪れても、兵士としての使命に押しつぶされる世界が消えてもー。

『・アッカーマンかぁ…。楽しみだなぁ。』

婚姻届を両手で広げ、嬉しそうに頬を緩めていたの姿が、蘇る。
まるで、本当にそこにいるようでー。
あぁ、すべて悪夢だったに違いない。
きっと、自分はあの日の続きにいるに違いない。
そんなことないと知りながら、リヴァイはおずおずと手を伸ばす。そして、空を切り、見えていたはずのの輪郭は消えていく。
小さく首を横に振り、リヴァイは寝室へと向かった。
汗をかいて気持ち悪いけれど、シャワーは浴びたくない。
兵団服を染めたの赤い血は渇いて黒い滲みになっていて、きっと落とすことはもう出来ないだろう。
が生きていた証をそのまま残して、眠ってしまいたかったー。
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