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【リヴァイ】いつか地平線を眺めるなら【進撃の巨人】

第164章 ◇第百六十三話◇勝利の女神に敬礼を【運命の決戦編】


の実家は調査兵団の兵舎から少し離れたところにあった。
まわりにはまだ巨人襲来の爪痕を残してはいたけれど、そこまで大きな被害はなかったようだった。
物悲しさ漂う赤い空の下、リヴァイが玄関のベルを鳴らす。
すぐに勢いよく開いた扉から飛び出したのは、の父親だった。その後ろからの母親も顔を出す。
そして、1人で立つリヴァイとその向こうにエルヴィンを先頭にして幹部のハンジ達まで並び、整列する大勢の調査兵達を見て、娘の無言の帰還を察したようだった。
きっと、覚悟はしていたのだろう。
一瞬だけ悲しみに暮れるような表情にはなったものの、彼らは泣き崩れるわけでもなく、絶望した様子もなかった。
ただ、真っすぐに立っていた。
がまっすぐに育った始まりを、ハンジは彼らに見た気がした。

「よく帰ってきてくれたな。」

の父親は優しく微笑んだ。
それは、悲しい事実を口にしなければならないリヴァイを守ったように見えた。

「すまない…っ。俺はっー。」
「いいのよ、言わなくていいの。」

言いかけたリヴァイの背中にの母親の手がまわる。
そして、愛しい息子の帰りを喜ぶ母のように、リヴァイを抱きしめた。
目を見開くリヴァイが一瞬見えた気がした。
リヴァイの戸惑いが、ハンジ達にも伝わってくるようだった。

「分かってるから。ツラかったわね、頑張ったわね。」

母親が、リヴァイの頭を優しく撫でた。
小さな子供を慰めるみたいに、とても深い愛で、優しくー。
彼女の頬に、ついに涙が伝う。
息子を抱きしめる母親ごと守るように、父親がリヴァイの髪をクシャリと撫でた。
そしてー。

「さすが、俺達の息子だ。よくやった…!」

リヴァイが、縋るように母親の腕をきつく握ったのが見えた。
そして彼は、胸に顔を埋め、唇を噛む。
もう、ダメだった。
ハンジは久しぶりに声を上げて、泣いた。
彼らは、もう家族だった。
はリヴァイに、家族を残して逝った。
彼を決して1人にはせずに、逝ったのだー。
とても優しくて、温かい親子の光景に、ハンジの胸は引き裂かれそうだった。
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