【IdentityV】ゲーマーでオタクで何が悪い【第五人格】
第1章 さよならゲンダイとつぜんテイエン
突然だが俺は今、初夏の日差しに溶けそうになってる。
それもそのはず気温は30℃超えも良いところ、炎天下の中外に出ているからだ。長袖長ズボンで。重いれーぼーを背負って。
なぜそんな自殺行為をしてるかって?そんなの俺が聞きたいくらいだ。
齢18、高校生最後の夏休みを家でゲームをして満喫しようとしていたさなか、冷房が壊れたからだ。
長袖長ズボンなのは、「どうせこの夏休み、家出ると言ったら夜コンビニで買い込むくらいだし、紫外線の方があたったら痛いし、このままでいいや」とたかを括り衣替えをしなかったのが敗因。
にしても暑い、暑すぎる。冷房を即変えてもらうには電車に乗って大手のメーカーに直接持っていかないといけないなんて、このご時世そんなのありか……。
こんなことしてる合間にも……。
「……ランク戦……ぁぁ…」
discord仲間とこの時間やろうと約束していたのにこの有様。
傭兵Sランカーの俺は固定でランク戦に挑むことが多い、もちろん仲間もSラン。そんな仲間故に時間には厳しい。ランク戦、始まる前には集合している。
ぁあほら一分前だと言うのに通知が鳴り止まない。
この時ばかりは申し訳なさより、理不尽にも謎に壊れた冷房に怒りしか込み上げてなかった。
だからだろうか、周りが見えてなかったんだ。
とりあえず意識を失う前に認識したのは、女性の声で、あぶないっと言う言葉と、急ブレーキをかける気配も見せない猛スピードで迫り来るトラックと、恐らくランク戦が始まりましたという通知の音だった。