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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第6章 セミが泣く








「緑になってる?」



彼は実に単調に言を紡いだ


何故舌を出したのか、いやそれよりもセクシーでキュートだ!なんて考えていた私に、はからずも答えを示した彼は無邪気である



「ちょっと緑かな」



なんて平静を装いながら伝えた言葉に彼はチラリと私に視線を寄越した後



「沙夜子は耳も頬も唇まで真っ赤だよ。」



なんて妖艶に微笑まれてしまえば途端に平静を装う事は不可能で



「舌も赤いの?見せてよ。」



少し冷えた指先が唇をなぞれば抗う余地は無く緩く開いて

羞恥を抱いたまま控え目に舌を突き出せば流れる様に顎を掬われ彼の端正な顔と向き合った


かき氷を持った手が膨大な想いに震えてカップを伝った滴がポタリと床で弾けた時



まじまじと観察した彼は私をすんなり解放すると



「病的に赤い。」


なんて淡々と呟いた





…………………これはキスの流れだと思ったけれど………………





「でもまぁ緑よりはマシか。」




少し溶け出したかき氷をシャクシャクと混ぜる彼の姿に私は少し笑った



「かき氷のシロップって毒物っぽいんだよね、沙夜子にはわからないだろうけど。」


「………へ、へー」


「沙夜子も知ってるようなクロロホルムや青酸カリは実は甘いんだよ。」




甘い雰囲気は何処へ消えたのか何かのスイッチが入った様に甘い毒の話を始めた彼に相槌を打ちながらも

ジワジワと鳴くセミはきっと乙女心を振り回された私の代わりに泣いているのだとぼんやり思った







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