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ここは私達の世界です【HUNTER×HUNTER】続番外編

第5章 友達








「それじゃ、また!」



そう言いながら軽く会釈した藤木の背を追う様に辿った視線の先、静かに落ちた影に目を向ければ彼が悠々と立ち止まった所だった



「ばいばい、またね!」


遠くなって行く背中に声を上げた私に大きく手を振った友人は屈託の無い笑顔を浮かべた


また強く風が吹いて枝から一枚の葉が空を舞う


有り難い事に藤木は私へ想いを寄せてくれていた

だけど今この時藤木の中で何かが動き始めたのだと感じさせた

きっと私達はまた純粋に馬鹿笑いする友達に戻ったのだ


気持ちに応えられないのだから憂うなんておこがましいと思っていたけれど今ならば幸せになって欲しいと願っても許される気がした



そんな私達に口を開く事も無く黙視していた彼は風に乱れる艶やかな髪を解かしながら私を静かに待っている


黒いVネックから覗く白い肌と逆さ十字架のネックレス

緩く落とされた繊細な手の所作を辿って視線を落とした私に凛とした声が言う



「それじゃあ行こうか。」


見上げれば晴天が赤く染まった空の下猫目がちで大きな瞳が真っ直ぐに私だけを見詰めていて

途端に高鳴る心音をそのままに随分小さく頷いた




「何食べる?」


「焼き鳥とか食べたいです!」


「焼き鳥ね……じゃあ駅前の方が良かったね。」


「イルミさんは何食べたいとかあります?」


「別に、焼き鳥でいい。」



夕暮れた公園に彼との思い出がまた増える

長く伸びた影は二人分

子供達が帰って行く気配に静けさを漂わせ始めた道には楽し気に鳴るミュールの音と彼の心地好い声色が広がる


私は本当に幸せだと何度噛み締めても足りないくらい今の全てが輝いて


グーっと鳴った腹の虫に彼が小さく笑った






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