悪役になりたいので、まずはフリから始めます。[鬼滅の刃]
第1章 プロローグ 加害者と被害者
優希サイド
「私はいじめてないわよ。勘違いしないでくれる?莉愛が勝手に言っているだけじゃないの?」
私は悪役。態度が大きく、口が悪い。ついでに同期をいじめている。みんなに嫌われているような、ありきたりの悪役。
「ふざけないでくださいよ。さっきの行動・発言が証拠でしょう?莉愛さんに謝る気がないなら鬼殺隊を辞めてもらえませんか?」
「謝る気なんてないに決まってるわ。だってこいつが言いがかりをつけてるだけだもの。…はぁ。なんか気分が萎えたから帰るわ」
言葉を吐き捨てて屋敷に戻る…ふりをして莉愛の屋敷に向かう。
莉愛サイド
「全く、あの人は何がしたいんでしょうか。莉愛さんをいじめるとか…意味が分かりません」
「ありがとうございます、しのぶさん。私は大丈夫ですから」
私は被害者。誰にでも優しく、丁寧な言葉使いで話す。そして優希さんにいじめられている。みんなから心配され、愛されている。そんな存在。
「またあいつに何かされそうになったらすぐ私に言ってください。約束ですよ?」
「はい。わかりました。いつもすみません。それでは私は書類が溜まっているので。失礼します」
そうしのぶさんに告げ、私は自分の屋敷に戻る。
Nosaid
「また私の屋敷に来たの?」
被害者が冷たい声で悪役に話しかける。
「えぇ。報告書などをもらいに来たのよ。ついでに謝りに」
悪役は邪気の一つも感じられない笑顔で話す。そして悪役は被害者の屋敷に入る。
「いつもありがとね。私を手伝ってくれて」
「それはこっちのセリフ。こっちは報告書の半分手伝ってもらって、さらには「愛される女子」にさせてもらってるんだから」
被害者は冷たい顔で、悪役は誰もが振り向くくらいの満面の笑みでそれぞれ話す。双方ともに悪意の一つも感じられない。
「そんなことよりさ、あんた大丈夫なの?たくさんの人に嫌われているけど」
「いいのいいの!だってここに友達がいるし!」
「…わ、私はあんたのこと友達だと思ってなくもないからっ!」
そこには被害者も悪役もいなかった。あくまで普通の友達同士の少女二人がいるだけだった。