第1章 an encounterー出会いー
キョロキョロ辺りを見回しても、全く知らない場所で混乱しているラルは、適当に進んでいった
しかし、どれだけ行っても知らない場所で、ラルは目に涙をためる
自然と早くなる足取り
そんなとき
「お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
誰かがラルに話しかけた
振り返ると、そこにはニコニコ笑う知らないおじさんがいた
「おじさん、誰?」
弱々しい声でラルは尋ねる
「ん?おじさんは、ここら辺に住んでる人でね。キョロキョロしてるお嬢ちゃんを見つけたからどうしたのかと思ってね」
ニコニコ笑顔で答えるおじさん
そんなおじさんにラルは
「道に……迷っちゃった…。」
素直に答えてしまった
一瞬だけ、おじさんはニヤッと口角を上げた
が、ラルはそれに気づかない
「それは大変だね。じゃぁおじさんが家まで送っていってあげるよ」
「本当?」
その言葉にラルは嬉しそうな顔をする
何も疑わずに……
「じゃぁ行こうか。」
そう言って、おじさんは、ラルの手を引いて行った
「……チッ」
それを誰かが見ていたことをラルも、そのおじさんも知らない