第3章 Tragedy ー悲劇ー
「駆逐……」
私は少年の言った言葉をポツリ呟いた
そして、母から貰った鍵を手に持ち、見つめる。
お母さん……これから、私は……どうしたらいいのかな?
わからない……怖いよ……お母さん。
もし、私に力があったら、お母さんは巨人に喰われることはなかったのかな?
私が弱いから、お母さんは……巨人に……
「っ、ひっ……うぅうっ……」
隅の方で丸くなって座っている私は、膝を抱え泣いた。私が泣いても、誰も見向きもしない。
自分のことで頭が一杯だから……
私が泣いているのを誰も知らない。
周りはドシン。ドシン。と、巨人の歩く足音や、巨人が建物を破壊する音などで全てを掻き消していたから。
もう、ただ泣いて見ているのなんて嫌だ
もう、誰かが死ぬのを見るのは嫌だ
だから私は━━━
手で握っている鍵を見る。そして、その鍵をギュッと握り締めた。
━━━強くなる
私が、巨人を、全て
「駆逐してやる……!」
この日、巨人によって、私たちの運命は大きく変わった。
そして、私が巨人を駆逐する。と誓った瞬間だった。