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Emotional Reliable

第11章 Emotion



陽が傾き始めた道を凛は歩いていく。
小学生の頃よく親友と歩き、時に勝負といって駆け抜けた道。
昔と今とでは違って見えた。

途中何度か小学生達とすれ違った。
屈託の無い笑顔を浮かべて凛の側を駆け抜けていった。


(俺も昔はああやって毎日日が暮れるまで外にいたっけな...)

凛の場合は日が暮れるまでスイミングスクールで泳いでいたり親友と遊んでいた。
5年前だろうか。
この5年間本当にいろいろなことがあったと凛は思う。
その〝いろいろ〟をちゃんと汐に話そう。


しばらく懐かしい道を歩いていると、まだ完成して年月の浅いことが見て取れる、新しくて綺麗な住宅街にたどり着いた。

自分が小学生の時はまだ工事中だったことを凛は覚えている。
小学生の頃はやたら長く感じた距離も、今になると大したことなかった。
昔親友と、ここに住むような人はみんな金持ちなんだろうな、と話しながら歩いたことを思い出しながら凛は汐の家へ向かった。


まだ新しい家の建ち並ぶ中を歩いていく。
間もなく凛は汐の家の前についた。
周りの家とは訳が違う。
周囲に建つ家の4倍は有するであろう広い敷地と、大きな家。
こう見るとやはり汐はお嬢さまだと、もとは住む世界が違う人なのだと考えざるを得ない。


(そういえば何も連絡せずに来ちまった)

いわば、アポなし訪問。
もしかしたら汐は不在かもしれない。
そのような考えが一瞬頭をよぎる。
しかし今どうしても汐に会いたい。
その思いの方が強かった。

凛は門を開けて玄関へ向かった。
インターホンを鳴らす。
程なくして扉が開いた。
扉の隙間から覗いたのは樺色の髪と赤紫の瞳。

「っ...!松岡くん」
その愛らしい顔に驚きと戸惑いが半分ずつ表れる。

「久しぶりだな」
拒絶はされなさったことに少しだけ胸をなでおろした。

「そうだね。...家に来るんだったら連絡して欲しかったな」
そう言いながら汐は手ぐしで髪の毛を整えた。

「...悪い」
「あっ、そういうつもりじゃないよ!...で、どうしたの?」
「少し話がしたくて...」
「お話?いいよ。よかったらあがってく?」
お茶淹れるよ、と汐は勧める。

「家の人に悪いから...」
「家の人のことは気にしなくていいよ。今日あたしひとりだから」
「...そうか。なあ、榊宮。外、出れるか?」
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