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♡Happy Birthday dear Erwin ♡

第1章 Happy Birthday dear Erwin



夜の国際空港の到着口で、降機する人波を、少しだけ背伸びをして待つ。その傍らにはベビーカーがあり、先程満腹になったばかりの我が子はベビーカーに取り付けられたおもちゃで機嫌良く遊んでいる。

の目当てとする相手。それは夫のエルヴィンだ。エルヴィンはの出産を見届けた次の日から半年の海外出張に出て、彼の誕生日の今日、帰国だ。

の身内は、エルヴィンが海外出張へ出たあと、に対して「ほらね、やっぱり。日本人と外国人じゃ感覚が違うのよ」「出産直後の嫁さんと、幼子置いて海外なんて。間違った結婚になるって言ったでしょう」「子どもの記憶に残る前に離婚した方がいい」なんて、口を揃えて非難の言葉を浴びせた。

産後半年、それに耐え、毎日怒涛の“独り”での子育てに、何度か感情的にエルヴィンに泣きながら電話をした。その度に時差がありながらも、エルヴィンは時間が許す限り、面倒だとも言わず、そんな雰囲気も出さずの話に耳を傾け続けた。


「……は、あ……っ、」

は、待ちに待った瞬間に喉の奥が突然締まり、顔を中心に体が熱くなるのを感じた。目頭が熱くなる。

「……!」

一目見てすぐに駆け寄ってきてくれたエルヴィン。二人は人目も気にせず、互いの体を掻き抱いた。
止まらない涙をエルヴィンの胸の中で零す。

「会いたかったよ。この半年、よくやってくれた。……ありがとう、本当にありがとう」

そう言ってから、エルヴィンの片腕がから離れて、ベビーカーの方に体が傾いた。

「……やあ、君にも会いたくて仕方なかったよ」

はエルヴィンから離れて子供を抱き上げる。

「パパだよ」
「初めまし……いや、久しぶり、か。産まれた日に抱っこして、それ以来だな」
「おっきくなったでしょ?」
「ああ、本当に。まるでタイムスリップしたみたいな気分だ」

エルヴィンは子供と、二人を抱きしめてキスをする。

「愛してるよ」
「うん、私も愛してる。……エルヴィン、」
「ん?」
「お誕生日おめでとう」
「……ああ、ありがとう」
「誕生日、間に合って良かった」

エルヴィンはもう一度二人にキスをして、「さあ、早く家に帰ろう」と言って、空港を後にした。


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