第3章 君の音楽
志水side◆◇◆◇◆
姉さんからの電話はいつも突然だったけど…
この日の電話はもっと突然だった。
「結、婚…?」
[─…そぅ♪]
今年中には結婚するとは聞いていたけれど…
本当、急です。
[それで、その結婚式で何曲か演奏して欲しいんだけど…いいかな?]
「生演奏…?そんな、急に言われても…」
[大丈夫、大丈夫☆式まで、まだ余裕あるでしょ?]
「でも…」
[お願い!お姉ちゃん、あの日の文化祭コンサートで感動しちゃって、生のクラッシック音楽を結婚式で流したいの!だから…!]
「僕"達"に‥演奏して欲しい…?」
[そぅ!!お友達も誘って盛大に盛り上げて欲しいんだ♪勿論!お客様として招待するから、式じたいも楽しめると思うし☆]
「けど…」
[頼んだよvじゃ☆ぁ、桂チャンの衣装は私が準備しとくからv]
「ぁ、姉さ…」
[─…プチッ!…プープープー]
「相変わらず…忙しい人だな…」
結婚式、かぁ…
みんなと演奏できるのは嬉しいけど…忙しいだろぅし…
「先輩に…相談してみようかな。」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「望先輩は、今までに"結婚式"って行った事ありますか?」
『"結婚式"?招待された事は無いけど、バイトのお手伝いならしたことあるよ?』
「バイト、ですか?どんな事をするんですか?」
『私が受け持ったお手伝いは、披露宴会場の飾り付け。食器やクロスを綺麗にセッティングしていくの。沢山並べなきゃならないから大変だったけど…色とりどりのお花や、綺麗なお嫁さん…純白の可愛いドレスにお城のような内装…それは、もう御伽噺みたいにキラキラした世界で素敵だったよ。』
「…先輩は"結婚式"好きですか?」
『勿論!大好き!女の子なら、誰しもが憧れて夢見る場所だと思う!』
「ふふッ。(先輩…可愛い。)良かったです。実は先輩にお願いがあって…」
『お願い?』
「実は、───」