第64章 波乱の最終日
クライマーのゴールはいつも同じだ。
勝者は空を仰ぎ、敗者は恨めしそうに地面に伏す。
両手を天へ掲げ雄叫びをあげたのは小野田くんだった。
ほんの数cm。
私たちは柵を乗り越え小野田くんの元へと駆け寄る。
自転車のまま横に倒れていく小野田くんを純太と青八木くんで支える。
純太は小野田くんを抱きしめ、幹は小野田くんの手を握る。
「今日ってこんなに晴れてたんですね」
小野田くんは空を仰ぎみてそう呟く。
小野田くんはまっすぐ、前だけを見て走ってきたのだろう。
グローブもてもジャージも全てボロボロだ。
みんなの意思を背負って必死に登ってきたんだろう。
続いて5位、6位でゴールへと帰ってきた裕介さんと今泉くんはロードを放り投げて小野田くんの元へと駆け寄った。
裕介さんは小野田くんを抱きしめ、今泉くんは持ち上げた。
その光景が微笑ましくて思わず笑みが溢れる。
裕介さんは今にも倒れそうな小野田くんを優しく抱え、テントへと戻った。