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蝶と蜘蛛

第61章 生まれた誤解(巻島目線)


インターハイ1日目が終わり今は表彰式が執り行われている。
ステージではまさに山岳賞の表彰中だ。
東堂が俺の名前を呼んでいる。
なんとも迷惑な話だ。

ふと気がつくと茉璃の姿が見えない。
先ほどまで手嶋やもう一人のマネージャーと一緒に撤収作業を進めていたのに。

(東堂の表彰でも見に行ったのか?)

2人は幼馴染だ。
ましてや2人は一緒にロードに乗っていた仲。
表彰式を見に行くぐらい自然な流れだろう。


表彰式が終わり、しばらく経つと茉璃が東堂とハコガクの1年生クライマーである真波を引き連れ帰ってきた。
東堂が小野田に話があるとのことらしい。

小野田も東堂に褒められ素直に喜んでいる。
和やかな雰囲気がテント内に広がる。
しかし、去り際の真波の発言に俺の心は少しざわついた。

「東堂さんの彼女って総北の人だったんですね」

この発言に一瞬、時間が止まったように感じた。
少し先にいる茉璃も驚いた顔で固まっている。

ただ雑談してるだけじゃ、きっと彼女だとは思わねェだろう。
俺は笑うこともできずただ黙って下を向いた。

すると手元にあった携帯が鳴り響く。
そこには田所迅の文字。
俺は嫌な予感がしてすぐに田所を探すことにした。
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