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蝶と蜘蛛

第8章 小さな疑問


マネージャーになり1週間。
最初、私はマネージャーの仕事がどんなものかあまりよくわかっていなかったので、純太と青八木くんに教えてもらった。

あらかたのやるべきことは覚えたが、いかんせんやることが多い。

これまで皆さんどうしていたんだろうと思うぐらいに忙しい。

(とりあえず、さっき使ったタオルやらなんやらを洗濯機入れて…それからボトルを洗って…ポスターの張り替えも頼まれてたし…部室の掃除もしないとね…あとは…)

やることを頭の中で整理し動き出す。

(ボトル、多いな…持てるかな?)

そう思いながらも大量のボトルを手に洗い場へと向かう。
と、その道中。

(あ、やばい。)

段差があるのに気が付かずそのまま地面へと倒れ込む。

(っ!…あれ?痛くない?)

地面についたはずの体に痛みが全く伝わってこない。

「ったく。危なっかしいな。茉璃は。」

支えてくれたのは純太だった。
フラッとしていたのが見えて慌てて駆けつけてくれたようだった。

『ご、ごめん!ありがとう、純太。』

そう純太にお礼を伝え落としたボトルを拾う。
2人で再び洗い場へと運び終わると純太は青八木くんに呼ばれ練習に戻った。

全て洗い終わると、また落としてはいけないと二回に分けて運ぶように、半量だけを持ち上げる。

すると、もう半量をどこかから現れた巻島さんが一緒に持っていってくれた。

『巻島さん!すみません、ありがとうございます』
「別にいいショ。これくらい。」

なんだかやってくれていることは優しいが、巻島さんは少し不機嫌なような気がする。
私はそれ以上話しかけることが出来なかった。

この1週間、たびたびこのようなことがあった気がする。
怖いとまでは言わないが流石に話しかけづらい。

でも基本的にはいつも優しくて、困っていると何も言わずに助けてくれる。
その際はいつも普通だ。

私は巻島さんのその態度に少し疑問を抱くのだった。
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