第6章 私が自転車競技部のマネージャー?
私は今、田所さんに誘いを受け、主将の金城さんに許可をもらい自転車競技部の見学をしている。
今日は正門から出て市街地を通り裏門坂を登って戻ってくるのを繰り返し行う、というメニュー内容のようだ。
ただ、みんなが出て行ってしまうと見学といえどやることがない。
部室には好きに入ってて構わないとは言われたものの、部員でもない自分が入るのは…と少し躊躇してしまう。
どうしようかと考えていると、部室の窓からドリンクボトルが並んでいるのが目についた。
(そうだ!みんな疲れて帰ってくるし追加用のドリンクとタオルを用意しておこう!)
そう思い少し躊躇いながらも部室へお邪魔し、ドリンクの用意とタオルを準備していく。
何周かして休憩に入る頃にはボトルはすっかり空になりみんな汗だくになって帰ってきていた。
そこですかさずドリンクとタオルを差し出す。
その様子をみた金城さんからある提案があった。
「富永、もし良ければなのだが、自転車競技部のマネージャーになる気はないか?」
自転車競技部のマネージャー。そんなことを考えたこともなかった。現在マネージャーがいないのは知っていたので、そもそもで募集をしていないのかと思っていたからだ。
今現在部活にも入っていないし、何より好きなロードに関われるのは願ったり叶ったり。
私は迷うことなく、自転車競技部のマネージャーになることを決めた。
『はい!是非お願いします!』
「よろしくな。わかんないことがあったら手嶋か青八木に聞いてくれ。」
『はい!』
その会話を聞いていたのか純太もこちらに寄ってきて嬉しそうに私の肩を抱く。
「茉璃、マネージャーになるのか!これからよろしくな!」
『よろしくね、純太!』
私は純太の腕からスルッと抜け、入部届を準備するため職員室に向かう事に。
純太が金城さんに私がロードに乗ることを伝えたのか、たまに乗ってもいいとのお言葉を頂いたし、毎日退屈だった放課後が楽しくなりそうな予感がした。