第40章 君の気持ち(巻島目線)
送迎会終了後。
俺は茉璃に呼ばれ裏門坂にやってきていた。
そこは初めて茉璃と会話をした場所。
始まりのこの場所で茉璃は俺にどんな話を切り出してくるだろうか。
(別れ話か…そりゃそうだよな…覚悟決めるショ、裕介…)
俺は覚悟を決め茉璃を見つめる。
すると茉璃は一度深呼吸をしながらポツリポツリと話を始めた。
『裕介さん、私は裕介さんのことが大好きです。だからこそ何も教えてくれなかったこと、ちょっと寂しかったです。でもこの1週間ずっと考えててさっきやっとわかりました。私、不器用だけどいつも助けてくれる優しい裕介さんのことが大好きです。それから自分を貫いてる完全自己流なあなたを死ぬほど尊敬してるんです。だから私は裕介さんの足枷にはなりたくない。付き合っていることで裕介さんがしたいことができなくなるなら潔く身を引きます。でも、待っていていいなら、待たせてください。私は例え何年離れ離れになったとしてもあなたの彼女でいたい。』
俺は彼女の言葉に全身の力が抜けた。
俺の足枷になりたくない?
足枷なんかになるわけない。
むしろ茉璃がいなくなることの方が問題だ。
待っていていいなら待たせてくださいって、こんな俺なんかのこと待っててくれんのかよ。
離れても俺の彼女でいてくれるのか。
俺はたまらず彼女を抱きしめる。
すると彼女も力強く抱きしめ返してくれた。
こんな幸せなことがあるだろうか。
俺は何年かかっても必ず彼女を幸せにすると決めた。