第32章 クリスマスパーティー(巻島目線)
ピンポーン
家の中にインターホンの音が鳴り響く。
デカデカと映った田所の顔を確認すると玄関へ向かう。
「よぉ巻島、邪魔するぜ」
「「お邪魔します」」
「お邪魔します。これは手土産なのでご家族と食べてくれ」
結局部員全員という訳にはいかなかったようだが、金城、田所、手嶋に青八木と結構な面々が集まった。
順々にリビングへ案内すると茉璃がなんだか不安そうな、少し泣きそうな顔をしていた。
(なんでそんな顔してるショ…ってかなんで手嶋みて安心した顔してるんショ…)
「茉璃?どうかしたか?」
そう尋ねると茉璃は少し困ったような顔をした。
どうしたらいいのかわからず固まっていると手嶋が口を開く。
「茉璃のやつ、巻島さんのお家で少し緊張してるみたいです」
なんのことだか分からず戸惑っていると呆れたように金城が俺に語りかける。
「巻島、富永を家に招いたことは?」
「ん?まだないショ」
「では、巻島は富永のお宅に伺ったことは?」
「一回だけ…あっ」
そこで気がついた。
あの時は東堂もいたとはいえ好きな子の家に上がることにとてつもなく緊張した。
そして、今回は東堂がいるわけではない。
それに加え今回は短い時間とは言え2人きり。
(茉璃は俺の家にいることに緊張している?それって…めちゃくちゃ可愛すぎるっショ///)
俺はにやけた顔を隠す。
すると茉璃はそんな俺を見て少し緊張が解けたような、安心するような顔をしたのだった。