第3章 見える物見えない物
「レッドアイの住みかでも、いいの?」
「俺は、君のようなレディーと一緒なら、天にも昇る心地だがな」
「黙れ、クソ松!」
「あ、はい」
「引っ越すの?面倒なんだけどな」
「やきうできるなら、俺はどこでもいいよ」
「どっちでもいい」
「ここってさ、周りに木がたくさんあるから、分かりにくいと思うんだよね」
確かに屋敷の周りは森と言ってもいいくらいの木が生い茂っているため、おそ松たちは門をくぐるまで、屋敷があることに気づかなかったほどだ。その割に、屋敷からは外の様子がよく見える。
「確かに使えるね」
「あの木々は、あたしが生やしたんだ。白紙委任の森って言って、一度迷うと出られないよ」
「じゃあどうやって外に行くんだ?」
「あたしと一緒なら、迷わないよ」
「オーケー!○○とどこでも一緒か!」
「よし、引っ越し決定!」
とは言うものの、そんなに荷物があったわけでもなかったおそ松たちの引っ越しは、あっという間に終わった。
「部屋はたくさんあるから、好きなとこ使いなよ」
「やったぁ!」
「おーれ、ここぉ!!」
「あー!おそ松兄さん、窓際ずるいー!」
「へへーん。長男の特権だもんねー」
「俺は、ここがいいな」
「そこ、あたしの部屋」
「おっと、失礼。じゃあ、その隣がいい」
それぞれ思い思いに部屋を決め、眠りについた。
しばらくしてカラ松がトイレから出てくると、夜風が入って来るのを感じた。そちらへ行くと○○がいた。
「○○?何をしてるんだ?」
「カラ松…。空を、見ていたの」
「空を?」
「ねえ、星って、どんな感じ?」
「キラキラ光ってて、宝石みたいに綺麗だ」
「光るって、何?綺麗って、何?」
「あー…。んーー、参ったな」
○○は空を見上げて、悲しそうな顔をした。
「見ようとしたけど、自分が放つ熱線しか、見えないよ。あたしも星を見てみたい」
「その熱線ってのを、見せてくれ」
「…いいよ。あたしの視界に、入らないでね」
カラ松は少し下がると、○○が目を開く。夜空に熱線が、真っ直ぐな軌跡を描いて放たれた。
「おお…」
思わず声が出る。
「どう?」
「光の筋のようで、綺麗だったぜ」
「え?!光?!」
○○はもう一度目を開いた。
「ああ!そっかぁ!」