第2章 レッドアイ
○○はカラ松を、閉じた目でじっと見た。
「ふっ。そんなに見つめられると、照れるぜ」
「ただの馬鹿だね」
「オー!ノー!」
「あっはっはっはっは!確かに本質を見抜いてるね!」
「クソ松、ざまぁ」
「いやー。それにしてもこのソファー、座り心地いいわ。ここをアジトにしたいくらい」
「ちょ!冗談じゃないよ、おそ松兄さん!こんな化け物と一緒なんて、やだよ!」
「チョロ松!」
カラ松がチョロ松を殴り飛ばした。
「何すんだよ、カラ松!」
「今すぐ○○に、謝れ!彼女は俺たちを信用して、ここに入れてくれたんだぞ?!○○の力、かっこいいじゃないか!俺は、好きだ」
「もー。カラ松兄さん、単細胞なんだから」
すると○○は、諦め顔で言った。
「別に構わないよ、慣れてるしね」
「ねえ、なんでここにいるの?モンスターって、人がいるとこにはいないよね?」
十四松が袖をブラブラさせながら聞く。
「全滅させられたんだ。村も、仲間たちも。いくらこの力があったって、遠くから攻撃されちゃ意味がない」
「人間が憎くないの?」
「……憎いよ。自分たちと少し違うところがあると、人間はすぐそれを否定し、排除しようとする。けどね、そういう人間ばかりじゃないってことも、分かってるよ。あのオーナーだって、あたしを普通に扱ってくれた。レッドアイだってわかったあとも、あたしを全盲だって言って、守ってくれた。あの人には、返しきれない恩があるんだ。店が薄暗いのも、あたしの顔が見えにくいようにする、オーナーの配慮なんだよ」
「俺は守るぜ、レディー。俺の目を、信じてくれ!あの美しい星と同じように、輝いているだろう?」
○○は、盛大にため息をついた。
「だから、見えないって。星とか美しいとか言われても、わかんない」
「ああああ!す、すまない、○○!輪郭しか見えないのを、忘れてしまった!許してくれ」
「そうか、輪郭しか見えないってことは、俺たちが同じ顔してるってことも、色も見えないってことか」
「え、同じ顔してんの?」
「俺たち、六つ子だから」
「性格は、全然違うね」
「化け物なんて言って、ごめん」
「いいって、チョロ松。言われ慣れてるから」
おそ松はひらめいた。
「なあ、ここに住まわせてもらえない?」