第4章 おそ松たちの仇
森の前ではおそ松たちが、イライラした様子で待っていた。
「あ、帰ってきたよ!」
「おっせぇよ、二人とも!!」
「うるせぇ!!いいところだったのに!」
一松がカラ松の胸ぐらをつかまえる。
「ぁあ?!何自分らだけでいかがわしいことしようとしてんだ、ごるぁ!!」
「ひぇえ!!」
「ちょっと待ってて」
○○は少しだけ目を開き、一本の木に印をつけた。
「いいかい、この印を真っ正面に見た状態で、真っ直ぐ歩いてみなよ」
「おし、行け。チョロ松」
「え?は?!何で俺?!」
「いいから、早く」
「わかったよ、行くよ」
チョロ松は印の正面に立った。
「目の前に木があるけど?」
「いいから、真っ直ぐ歩いて」
「うう…。こうなりゃヤケだ!」
チョロ松は目を閉じ、真っ直ぐ進んだ。
バン!
「ブッ!!いたた…」
何かにぶつかって目を開くと、もうドアの前だった。
「着いた!着いたよ!」
「よし、いこ!」
おそ松たちも後に続く。
「うわわ、ぶつか……らない!すげー!」
「ふっしぎー!」
「これでもう、あたしがいなくても大丈夫だね。ほんとは印、付けたくなかったけど、仕方ない」
「すまんな、俺たちのために」
「まあいいさ。あんたらは、特別だよ」
屋敷の中に入り、リビングのソファーでくつろぐおそ松たち。
○○がコーヒーを入れて持ってきた。
「コーヒー、入れたよ」
「サンキュー」
「コーヒーは分かるの?」
「匂いでね。濃いとか薄いとかは分からないよ」
「あ、おいしい」
「うん、ちょうどいいぞ」
「よかった」
「○○は飲まないの?」
「あたしはいいよ」
その時○○が淋しそうな顔をしたのを、おそ松たちは見逃さなかった。
「どした?淋しそうな顔してさ」
「え、ああ。やっぱりさ、色のある世界を見たいと思ってね」
「そっかぁ、輪郭しか見えないんだっけ」
「あのゴーグル、もらっといた方がよかったんじゃないか?」
「ゴーグル?」
「あたしが目を開いても大丈夫なようにって、カラ松が考えてくれたんだよ」
「デカパンか!」
「ザッツライト!」
「で、見えた?見えた?」
「少しだけ。カラ松の顔見たよ」
「どうだった?」
すると○○は赤くなった。
「かっこよかった」