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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第26章 襲撃<参>


「汐!?どうしてここに?毬の奴と戦っていたんじゃないのか?」
炭治郎が心配そうな眼で汐を見ながら言うと、彼女は少し自嘲気味に笑いながら言った。

「あっちはケガが治った禰豆子が戦ってくれてる。あんたを助けてくれってさ。相も変わらずいい子よね」
そう言った瞬間、遠くで大きな音が響いた。おそらく禰豆子が戦っている音だろう。

彼女の言葉に禰豆子が無事であることを知った炭治郎は、少し安心する。だが、漂ってきた血の匂いに肩がはねた。
「汐!お前、怪我をしてるんじゃないか!」
汐の右肩に滲んだ血を見て炭治郎は声を荒げる。が、汐は手当てをしてもらったから問題ないと突っぱねた。

「今はあいつをぶっ倒すことだけを考えるのよ。もういい加減に吹っ飛ばされることに飽きてきたしね」

そう言って汐は再び刀を構えた。挑発的な口調をするのは彼女なりの炭治郎への激励なのか、将又ただの虚勢なのかはわからない。しかしそれでも、汐が来てくれたことが炭治郎にとっては何よりも心強かった。何故だかはわからないが、彼女の凛とした声を聞いていると不思議と力が湧いてくるような気がするのだ。

「なんと下品な言葉遣いをする娘じゃ。汚らわしい」

そんな様子を見ていた矢琶羽が言葉を漏らすが、汐の戦い方を見て納得したようにうなずいた。

「だが、あの御方が青髪の娘は声帯ごと頸を持ち帰れとおっしゃったことが気になっていたが、納得したぞ。先ほどの様に声を用いたおかしな技を使うためじゃろう。だが、からくりさえわかってしまえば対処は可能じゃ」

彼の言葉に汐は小さく舌を鳴らした。汐の声帯模写はあくまでも奇襲のためのもの。そのからくりがばれてしまった今、もう通用はしないだろう。

それに、矢印の攻撃は多方向に同時に放つことも可能ならしく、二人が挟み撃ちにしても意味がない。
そしてやっぱり、あの目玉が気持ち悪い。
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