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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第18章 鬼と人と<参>


汐は刀を抜いたままゆっくりと鬼に近づく。鬼は手を止めたまま振り返らない。
その落ち着き具合を不気味に思いながらも、汐は切っ先を鬼に向けたまま言った。

「あんたがこの町を縄張りにしていた鬼ね。あんたに恨みは・・・いっぱいあるけど。仕事だから斬らせてもらう。でも、その前に聞きたいことがある」

汐はいったん言葉を切った後、小さく息を吸いながら言葉を紡いだ。

「質問は三つ。まどろっこしいことは嫌いだから単刀直入に言うわね。一つ。この町の菊屋のおやじ、右衛門じいさんの孫娘を知ってる?」

鬼は答えない。ただ、持っている縫い針を手でもてあそぶようにしている。
汐は小さくため息をつくと、「二つ目」と言った。

「さっきまで歌っていたあの歌。どこで覚えたの?あたしが知る限り、よく似た歌を歌っていたのは一人だけよ」

言葉を紡ぐたびに、汐の顔がゆがんでいく。自分がここに来るまでに導きだした答えを、できれば言いたくないように。

「じゃあ最後の質問ね。孫娘の事、知らないはず、ないわよね」
汐は今度は質問の語尾を変えた。尋ねる、ではなく、確信を持った口調で。
するとここで初めて、鬼がゆっくりとこちらを振り向いた。その顔を見た瞬間、汐は自分の予想が当たっていたことを知る。

孫娘を探す際、汐は彼女の特徴を右衛門から聞いていた。

――孫娘は目がとてもきれいで大きく、そして右目下と左ほおに、小さな黒子があるのです。そして、いつも【人形の歌】という歌を歌っていたのですよ・・・

振り返った鬼の顔には、聞いていた孫娘と同じ位置に黒子がしっかりとあった。
あの日、孫娘は鬼にさらわれたのではなく。彼女自身が鬼であり、両親を食い殺し祖父の腕を奪った張本人だったのだ。

(ああ、やっぱりそうか。あの歌を聞いた時からもしやと思っていたけれど)

汐は唇をかみしめ、目の前の鬼を見据えた。鬼はしばらく呆然としていたが、やがてにやりと狂気じみた笑みを浮かべた。
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