• テキストサイズ

【オビ】追い続ける【赤髪の白雪姫】

第5章 ラクスド








なんでこんな事になってるんだ


なんで誰も気づかなかった




『オビ!もーまたサボってるの?』


『やだなー。オビの知らない所で実は惰眠を貪ってるのだよ』


『っ!ごめん掠っただけ!』





確かに思っていたはずなのに


この人はいつ寝ているんだろう
この人はいつ食べているんだろう


人一倍働いてた。
食事を作り、雪かきをし、薪割りをし
主からの命令をこなし、掃除も洗濯も、看病も



どうやったらそんな量の仕事をこなせるのかと思った
余程手際がいいのだろうと



違ったんだ。ただ寝る間もなく動き続けていただけだったんだ




誰にも心配をかけないよう
他の人に負担をかけないよう



怪我の事まで隠して




「あんたは馬鹿だ…。くそっ」




馬鹿は俺だ。




俺が気づけていたら。
















ゼン達より先に城に着いたオビが
薬室に焦った顔で駆け込んで来てから


もう ------ 1週間




穏やかな寝息をたてる姉の髪をそっと撫でる


ふわふわと流れる髪は
頼もしく前を歩くさやに靡いてゆれて

私はいつも天使の髪を見ている気にさせてくれた



後光がさしてきそうな後ろ姿。

この髪を見失わないで進めば間違いはないのだと




そんな髪の面影は今はない




「さや…」



ミツヒデの後ろに乗りラクスドから城へと戻ると
薬室の人達がが慌ただしく、動き回っていた


何があったんですか?
何も知らず聞いた私に薬室長が驚いた顔で答えてくれたのを


今でも鮮明に思い出す



”「さやちゃんが倒れた」”



治療室のベッドに横たわるさやの顔には生気がなく
いつの間にか落ちたさやが気にしていた二の腕の贅肉が



さやのラクスドでの

泣きたくなるような自己犠牲を語っていた



診察した薬室長曰く


さやは、薪の毒素を体に溜め込んだまま

ろくに睡眠も食事もとらず、働き続けたせいで
肺炎を引き起こし

あまつさえ受けた剣傷も消毒もしないで放置


膿んだ傷口が発熱を起こし
流れた血が水分を奪って汗すらかけてない



との事だった。







/ 59ページ  
※結果は非表示に設定されています
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp