第3章 クレナイ2
優しくアリサの手をひいた蛇足は既に向かう場所を決めていた。
「貴方はどんなお方…?」
「貴女とは身分が違いすぎるただの男です。」
蛇足は国を守るために戦争に狩り出される騎士だった。
確かに国の次期妃である姫のアリサとは身分が違った。
だけど国のために働くその身分にどこか親近感を感じた。
そして暫くは他愛の無い会話をしつつ、アリサは蛇足に手を引かれるまま着いていった。
着いたその場所は城とはまったく違う普通の民家。
恐らく蛇足の家だろう。
「姫…いきなり自分の家に連れてきてしまって申し訳ありません。」
「姫なんて呼ばないで…私の名前は“アリサ”と言った筈よ」
「でも」「私が嫌なの。せっかく城を離れられたのだからその“役職”に縛られたくないの。」
「…わかりました。」