第4章 Cry in the cathedral
やけに静かすぎる。
フェアリーテイルというギルドでしかも今日は収穫祭であるにも関わらず部屋がシンとしている。壁にかけてある時計を見てみれば丁度フェアリーテイルコンテストが行われている時間でここまで静かなのは確実におかしい。
まずは状況確認だとノエルが部屋を出てみればギルドは閑散としておりステージにはコンテストに参加していたであろう女性陣が石にされていた。
「これは…?」
「ノエルか!?今までどうして」
駆け寄ってきたマカロフにこちらも状況が分からないのだとノエルが周りを見渡せば医務室の扉に文字が書かれているのを見つける。
《この中にいる者は音が聞こえなくなる》
間違いなくフリードの術式であった。ノエルだけを狙ったものでそれは確かに成功していた。
「これのせいですね…。ごめんなさい、今まで気づかなくて」
「術式があったんじゃ、仕方ないわい」
ノエルを石化させなかった雷神衆の様子にこの戦いがただの遊びではない、ラクサスの本気具合が見受けられマカロフは歯噛みする。
マカロフが一応ノエルを外に向かわせようとするが、見えない術式の壁には《ノエルの出入りを禁止する》と追加されており立ち往生。起きてきたナツも何故か同様で手も足も出なかった。
こうして3人が壁を前にただ立ち尽くす間にもギルドメンバー同士での戦いが始まり、見る見るうちに100以上いたメンバーの数が半分に減っていく。リーダスがフリードに倒され頼みの綱のポーリュシカとの連絡手段も絶たれた。
「さすがフリードやりやがるなあ」
「呑気なこと言ってる場合じゃないよ。ポーリュシカさんに助けて貰えなくなっちゃった!」
「いらねぇよ。砂にするなんてどうせハッタリだから」
「ハッタリだと思ってんのか?ナツ」
少しも疑う素振りの無いナツの言葉にここにはいない元凶の声が響く。余裕綽々としていた思念体の表情がノエルを捉えると途端に歪んだ。
「なんでお前がここにいるんだよ、ノエル」
「…なんでって、私をフリードの術式に入れたのはラクサスの方でしょ?」
「ちっ…。いらねぇことしやがって」
ノエルがギルドに留まっていることはラクサスにとって予定外だったようで、ラクサスはノエルを視界から外して居ないように振る舞いながらマカロフを煽る。