第3章 The world is mixed
「たっだいまー!!!」
ナツの帰還と同時に騒がしくなるフェアリーテイル。マカロフがその場を収めると何とか静まり向けられる視線に改めてフェアリーテイルに来たのだとルーシィは実感が湧いた。
憧れのフェアリーテイル。週刊ソーサラーで何度も読んだ。あのミラ・ジェーンが目の前にいる。
右手にスタンプを押され次々とフェアリーテイルの面々から挨拶されれば、自分もフェアリーテイルの一員になったのだとルーシィは嫌でも思い知らされ顔がニヤける。
「あっ、ノエル!!」
ミラが呼び止めた茶髪の女性が此方に振り向き挨拶をする。
「新人さん?私はノエルです。よろしくね。私は大体医務室にいると思うから用があれば声掛けてね」
毎回皆怪我してくるから大変なのと眉を下げて笑う彼女はバーから飲み物を貰うとまた部屋へと戻っていった。
「ねね、ちょっとナツ。今の人凄く綺麗ね」
「……ん、そうか?」
「何その気のない返事。ってか、もうご飯食べてる!?」
「ナツにそんなの聞いても無駄だよ。全然興味ないもん。ナツは強いかでしか人を見てないんだ」
ハッピーが馬鹿にしたように答えるが、ナツはひたすら食事にありつくのみ。本当に興味がないようで呆れてミラに話しかける。
「あんなに綺麗なのに週刊ソーサラーで見た事ないなんて」
「ノエルは外に出たがらないのよね」
何故かはよく知らないのと言ってミラは元の給仕の仕事に戻っていく。
「ま、ギルドに入ってる奴なんて色んなもん抱えてる奴らばっかだからよ。あんま詮索してやるなよ」
思ったよりまともな事を言うナツに感心してルーシィはナツの方を見ればそこには口いっぱいに食べ物を詰め込んでいる火竜が。感心した私が馬鹿だったと入っていた力を抜いて椅子に座り込んだ。
「まあ、そうよね…」
自分にも触れて欲しくない過去がある。名前がある。
まずはフェアリーテイルに馴染めるように頑張ろうと決意するルーシィに色々なクエストが舞い込むのは別のお話。