第53章 私を忘れないで…
「彼、かなりの心配性だからな。珍しいな」
「喜助さんは溜まった仕事をやらなきゃいけないので、今日はお留守番してます」
「ならきっと、仕事が手についてないかもしれないねぇ。紫苑ちゃんが心配で」
ほんのり頬を赤くする紫苑に、まだまだ安泰だなと京楽と浮竹は思った
「おぅ、お前。西園寺とか言ったな」
紫苑を影で覆う大きな体
思わず振り返った
「更木隊長…」
「あの時、なかなか良い霊圧してやがったじゃねぇか。これから十一番隊に来いよ。殺り合おうじゃねぇか」
「あ、えと…」
更木の圧に戸惑っている紫苑を、京楽と浮竹が助けようとしたとき
「更木隊長。西園寺さんは体調が良く無さそうなので、また今度にしてあげてくださいませんか?」
「卯ノ花隊長!」
「あっ!おい…くそっ、離せっ」
卯ノ花の登場に合わせて、京楽と浮竹は更木を引きずってじゃあまた、とその場を後にした
「あの、ありがとうございました」
「大変な目に合われましたね」
「いえ、ちょっと楽しかったですし」
「どういうことです?」
「秘密です」
紫苑はふふっと小さく笑うと、卯ノ花は安心したように息を吐いた
「勇音も心配してましたので、そのうち顔を見せてあげてくださいね」
「勇音さんも結構心配性ですもんね」
卯ノ花は、それから…と紫苑の頬に手を添えた
「顔色があまり良くないようです…昨日戻ったばかりだというのに、早朝に呼び出されてお辛いでしょう」
さすが四番隊の隊長…
昨日から何も食べていないこともあってか、調子は絶不調だ
琴乃のせっかく作ってくれたご馳走も未だ、ありつけてない
「四番隊で休んでいきますか?それとも、浦原さんのところに戻ったほうが良いかもしれませんね」
勇音さんの顔も見たいけど、今はそれより体調が悪い
他にも会いたい人はたくさんいるけど、それはまた今度にしよう…
「向こうに戻ります。勇音さんにごめんね、と伝えておいてください」
卯ノ花はニコッと笑って、砕蜂と話をしている夜一に声をかけた