第5章 恋が叶うオムライス
それから数日後。道行く女の子たちが、スマホを片手に噂している。
「ねえねえ、知ってる?ここのオムライス、絶品なんだって!」
「あ、知ってる!いっつも行列出来てるんだよね」
「夫婦で店やっててさ。それがまた、めちゃめちゃ仲いいんだよ!」
「ほら、あそこ!」
「うわ、すごい行列…!」
中ではカラ松と○○が、忙しく働いていた。おそ松たちも手伝いに来ている。
「お待たせいたしました、オムライスです」
「ノンノーン、チョロまぁつ。恋が叶う、オムライスだぜ!」
「くたばれ、クソ松!」
前ならお盆を投げそうな場面だが、○○との約束もあり、そういうことはしなくなった。が、こういうやり取りも、客の楽しみになっている。
「ねえ。あなた、名前は?」
「え…。一松ですけど」
「今度、デートしない?」
「え?!い、いや、俺は…」
「一度でいいから!ね?猫、好きなんでしょ?エプロン、猫ちゃんだもんね。私も猫、飼ってるんだ。ほら」
スマホの待ち受けには、かわいい猫がたくさん写っていた。
「かわいい…。いっぱいいる…」
「会いに来ない?」
「いいの…?」
「もちろん!」
「じゃあ、一度だけ…。へへ…」
「ちょっと、一松兄さん!ナンパは仕事が終わってからにして!」
「は?!ちげーし!」
恋が叶うオムライス、その効果は絶大………かも。
完