第5章 幸せな時間
イルカショーはあっという間に終わり、観客がゾロゾロと帰り始めた。
「凄かった・・・」
「うん・・・語彙力が一気に無くなった。」
「てか・・・ここまで水届く!?」
柊が頭を濡らした状態で大笑いしていた。
確かに、僕も少し濡れたけどここまで届くなんて・・・
「丁度僕達が近い所だったもんね(笑)」
「あのイルカ絶対狙っただろ。」
「イルカが可哀想だからやめて。」
久しぶりに見たイルカショー。
少し小さい頃の気持ちを取り戻した気がした。
あの頃は好奇心旺盛で、よく母さん達に迷惑かけてたっけ?
自分が他の人とは違うって気づいた時から僕は変わってしまったな。
「中に戻って他の見るか?」
「うん、そうだね。」
中に戻り、水族館の中を一通り回った。
大きい水槽も光るクラゲも、気持ちよさそうに泳ぐ魚も・・・まるで夢の中だった。
1度来たことあるのにこんなにも胸に刺さるなんて思いもしなかった。
「暗くなっちゃったね。」
「だな。そろそろ帰るか。」
「うん。」
本当にあっという間だったな。
グー
「あ・・・////」
お腹が鳴ってしまった。
「お腹空いた?」
「うん、少し・・・////」
恥ずかしい。
「ならさ、うちに来いよ!ご飯一緒に食べようぜ。」
「え?でも柊の家族に申し訳ないよ・・・」
「遠慮すんなよ。俺の家の方が近いし。母さんは大歓迎だって言ってくれる。」
そう言って僕の手を握り引っ張っていく。
ま、まって・・・
柊の家・・・?
に僕行くの?
まだ心の準備がぁぁ!
「ひ、柊・・・まだ・・・////」
「大丈夫だって。」
「わ、わかったから、手離して・・・////」
「わかった。」
これでまだマシになった。
あのままだったら耐えれなかった。