第7章 『許すと、思う?』
「…………華」
後ろから回された両手に、自分の手を重ねると。
びくん、て。
華が震えたのが伝わる。
「華、は、僕から離れたいんじゃないの?」
「そんなこと思ったことなんて一度だってありません………っ、いつも薔さまに嫌われたくなくて、でも全然うまく出来なくて。薔さまが怒るのも、無理ないの、わかってます、でも」
「うん」
向きを変えて正面から、華へと向き合う。
そのまま、泣きじゃくる華へと右手を伸ばして。
「うん、言って華。でも、何?」
「でも…………っ」
「うん」
「華は薔さまと、離れたくない………っ」
嫌いにならないで。
そうか。
僕に嫌われたと、思ってたんだ華。
なんだ。
そうか。
それで。
『ごめんなさい』、か。
僕は、てっきり。
「………薔、さま?」
「うん」
華の涙を両手で拭って。
勝手に緩む、口元。
「…………華」
「………はい、薔さま」
「せっかく、解放してあげようって思ったのに」
「薔さまと離れるなんて、考えたくもありません!!」
「そう。………どうして?」
かわいい。
かわいくてかわいくて。
さっきまでの自分が情けない。
勝手に嫉妬して。
焦って。
酷いこと、したのに。
「華は薔さまをお慕いしております」
そんなことを笑顔で、言ってくれるんだね。
華。
「華」
引き寄せて。
すっぽりと、腕の中。
「愛してる、華」