第2章 紅い月の下、好きだと気づいた
太宰side
中「止めるなよ…」
太「やれやれ、陰鬱なる汚濁の許容……か」
私は一歩引いて中也が暴れる姿を眺めていた。
中也は汚濁を使い建物を崩壊していく。
……え?待って?!このままじゃ私まで建物の崩壊に巻き込まれちゃう!!
確かに死ねるのは本望だけど蛞蝓の手によっては死にたくない!!
中「ぅうおおお!」
獣みたいな咆哮を飛ばし重力因子をあちらこちらに飛ばす。
当然異能なので私にあたってもすぐに消える。
太「……参ったな…中也の身体が持たない…」
ちょっと待って私!今何言った?
中也の身体が持たないって言った?
別に中也のことなんて気にしていない…
っていうのは嘘になる…
このまま中也が汚濁に殺されたら…
太「嫌だね…」
取り敢えず崩壊する建物から避難し、
中也が着陸するのを待つ。
中也は両手に重力因子を創り高笑いしながら投げ続ける。
中「ふふふははっはァあああ!!」
太「休め中也。」
中也の左手を掴み私の胸に閉じ込める。
そのまま、もう片方の手で中也の顎を掬い
太/中「っん…」
口付ける。
中也が目を見開き、蒼い瞳が私と月を映す。
中「?!…ん、はぁ…」
段々と目がトロンと蕩け出した中也に加虐心が湧き舌も口に入れる。
力の抜けている今の中也の口に簡単に入った。
中「ん゙〜」
と中也が力なく押し返してきたので口を離した。
名残惜しそうに私達の口には紅い橋が繋がった。
太「…鉄臭い…」
中也「…だっ、たら、ゃん、なょ…」
頬を赤くしながらキッと睨む中也。
中「…好きだ、太宰…」
と中也が糸の切れた操り人形のように私の元に倒れてきた。
太「…私もだよ…中也。」
中也をお姫様抱っこして拠点に戻る。
夜空に私たちを祝福するのかのように紅い月が輝いていた。