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Deep Blood ーラブヴァンプー

第4章 つもりに積もったチリは、華となるか、凶器となるか。





「ぇ、ええー……と」
「さぁ、ちゃんと納得できる説明、してくれるよね?」
「な、納得のいく説明、ですか」


一歩一歩、無意識に後退する足と、泳がせた視線。
こんなに冷静でいられるうちに早く吐いちゃいなよ。
長くは持たないよ?
これでも精一杯、耐えてるんだから。
もっとも。
『納得のいく説明』とやらが今のこの子にできるなんてさらさら思ってなどいないけど。


「だから、あれは、その…」
「うん」


一歩、後退する度に開く距離を埋めるようジャリ、とコンクリではない地面を踏み込む。


「…………ぁ」



「残念、逃げられないよ?」



後退してれば行き着く先は行く手を阻む壁、なわけで。
わざと誘導したその場所へ両手を付けば。


「凛ちゃん」


逃げ場をなくした彼女の、絶望的な眼差しが俺をまっすぐ見上げる形となるのだ。




「………ぁの、だから話す、よ?話すつもりだったんだってば」
「なら話して、ちゃんと俺が納得できるよう」
「な、納得……って」
「出来ないの?」
「だって翔琉、どうせ何言っても許す気なんてないじゃない」
「当たり前でしょ?許してもらいたいなら早く説明して欲しいんだけど」
「だから、それは……」
「何?」



「…………ごめんなさい」



うつむき唇を噛んで、小さな声で聞こえたのは欲しい言葉に反し謝罪の言葉。



「何が?」
「え?」
「何がごめんなさいなの?それじゃ説明になってない」


許さないよ。
謝罪なんか求めてない。
そんな言葉で、逃がさないし許さない。


「凛」



首筋へと顔を埋めて。
未だ色濃く残る赤い痕跡へと唇を寄せた。
たったそれだけの行為にすら、ビクリと肩を震わせ反応する彼女の。


「言うなら今だよ?」


真っ白な肌へと宛がった、固く尖るもの。



ほら。
準備ならいつでも出来てる。
理性が残る今のうちに早く、宥めてよ。
責任なんて持てないよ?


ねぇ、凛?
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