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植物図鑑【リヴァイ/進撃の巨人】

第6章 「ブランチ」





「......ドレッシング、
そろそろ期限切れちまうぞ」




『あ、もう買ってこなくていいよ』





リヴァイが目線だけ私に向ける。





『ほら、リヴァイご推薦の
ポン酢あるじゃない?』




「ああ、あれか」





何でも高知県の馬路村だったか、
さやかには想像もつかない
遠い土地で作られているという
ゆずポン酢である。




値段は普通のポン酢より
かなり高いのだが、




締まり屋のリヴァイが
わざわざ選んで買ってきた。




そして、リヴァイは
そのゆずポン酢を
万能調味料のように使っている。




炒め物の仕上げや
和え物に使ったり。




半額シールが貼られた刺身と
ゆずポン酢で作った和風マリネは
なかなかのものだった。




そしてもちろん
ドレッシング代わりにも。





『充分和風ドレッシングになるし
味も優しくて飽きないし。
私もあれでいい』





冷蔵庫に残っていた
ドレッシングを使っているのは
自分だけだな、




ということには以前から気がついていた。





「さやかがそれでいいなら」




『ねえ、ああいう商品って
どうやって見つけてくるの?』




「ああ......」





リヴァイはちょっと
困ったように首を傾げた。




こういうときは、
何か喋りたくない
〝過去〟に障っている。





「俺は高校生の頃から
長期で1人旅するのが趣味
......みたいな感じだ」





へえ、お家の人が
よく許してくれたね、などと
下手な相槌は打たない。




リヴァイが何とか
繕おうとしている話を
ただ黙って待つ。





「それで関西のほうの
居酒屋で旅費の足しに
短期のバイトしてたとき、
店長が教えてくれてな。」




『そっか、居酒屋さんとかで
バイトしてたからリヴァイって
料理作るの上手なんだね』





こういうときは敢えて
バカみたいに単純な感想を
述べることにしている。




リヴァイは
ほっとしたように頷いた。





「うまい店で賄い飯
沢山食ったからな」


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