第4章 お祝い会
今回の人事で恋次は見事試験をパスし、六番隊の副隊長に昇進。萌は第五席から第四席に格上げになった。
恋次の真央霊術院時代からの仲間で同期のイヅルと雛森から提案があり、お祝い会をすることになった。現世駐屯任務中のルキアがいない事が残念だが、皆集まったところで店に移動する。
乾杯し食事をしながら、話題はやはり各隊の近況に集中した。
「阿散井くんすごいね、いっきに副隊長になっちゃうなんて」
雛森の言う通り、恋次は本当にすごい。最近めきめきと力を付け勢いに乗っている印象を受ける。実際相当な努力を重ねているし、それが評価されるのは当然だ。
「萌さんは他の隊に配属されたことはないのよね?」
「けど、十三番隊じゃあその辺が限界だな」
雛森と恋次に続いてイヅルが質問をぶつけてくる。
「なんで?副隊長は誰もやらないの?」
「うん…第三席の二人が副隊長代理だから」
「けど、もう浮竹隊長のお世話係だね。気に入られてるんだよ」
イヅルはにこやかに微笑みながら話し始めたが、不意に声のトーンを落とし皆の輪の中に顔を寄せた。
「僕が聞いた話じゃ、朽木隊長は萌さんも候補に入れてたみたいだよ。浮竹隊長の猛反対にあってダメだったらしいけど…」
「なっ……マジかよ!」
「うん、市丸隊長が言ってた」
白哉が六番隊副隊長となる人材を探していたとは初耳だった。しかも自分が候補に挙がっていたなど、驚き過ぎて言葉にならない。
その話に恋次が敏感に反応し、少し困ったような複雑な表情を見せた。
「俺…なんか六番隊居づれーなァ」
会はお開きになりイヅル、雛森と別れた。先程のイヅルの話が頭をぐるぐる回り、以前告げられた白哉の言葉を思い出させる。
…あれはこの事だったのかも。
思案していると急に恋次が声を上げた。
「おーし二軒目行くかぁ」
「まだ飲むの?明日も普通に仕事だけど」
「んじゃあ…オレんトコで軽く飲むか」
まだ飲み足りない様子の恋次を心配しながら、萌は六番隊隊舎へついて行った。
「引っ越したばっかで汚ねえけど、勘弁してくれよ」
引っ越しの片付けが残っている部屋へと通される。恋次は最初こそ明るさを見せていたが、飲みが進むにつれだんだん元気を無くしていった。