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魔界皇子と魅惑のナイトメア

第3章 青の瞳


午後の授業も終わり廊下に出ると、少し先に葵が立っていた。

「あれ葵、まだここにいたのか。なんか数時間で窶れたな…… もしかして腹減ったのか?」
「ううん。そうじゃなくて、あまりにも授業が難しくて……」
「そうだったのか、じゃあ明日からはCランクむけの授業を受けてみたらいいと思うぞ」

リオは屈託なく笑い、葵の背中を力強くバンっと叩く。
リオと葵の横を通り過ぎようと歩き出すが、リオに呼び止められてしまった。

「ごめん。今急いでるから」
「……お、おう」

何気なく廊下を見渡していると、学院長の気配を感じ予定を変更した。長い階段に差し掛かった時だった、前の方を歩く人の後ろ姿を見つけた。


(……たしかあいつは、ガイ・モーナスだったな。うーん。関わらない方がいいかもな……)


その人をじっと見ていると、階段を上っていくようだ。

「…………」

仕方がないので引き返すことにした。

「う……っ、また迷った」

困りげに笑みを浮かべながら後ろ頭を掻く。
この自分の記憶の悪さは筋金入りで、どんなに頭に叩き込もうとも少しすれば忘れてしまうしまつで、自分のクラスの担任の名前を覚えるにも3ヶ月かけたものだ。
治そうとしてもなかなか治るものでもなく、もう諦めているほどだ。覚えれないものは覚えれない、人間諦めが肝心である。

学院内を彷徨きながら歩いてやっと覚えのある場所に着いたようだ。

広い階段を上っていると、階段を塞ぐように男子生徒が屯していた。

「……あ、あのー、すみませーん」

全く聞こえてないようで男子生徒は話に興奮し出し、男子生徒の手が当たりそうになったので、避けようとしたウチは階段を一段踏み外した。

「おっ!」
「あ、悪い。大丈夫か?」

心配そうに口を開くその男子生徒の言葉を無視して口を開いた。

「そこ通してください」
「あ、ああ」

皆気まずそうな顔をさせながら生徒たちは右に避ける。

「……」

左腕を摩りながら歩いていると、前方から青神の男性がやってきた。そのまま何も言わずお互い擦れ違い歩けるかと思ったが、呼び止められてしまった。

「昨日は助かった」
「……え、いえ」

凛とした佇まいに王子としての威厳を感じられる。顔も整っているので、女子生徒たちにはかなりの人気であろうことが手に取るようにわかる。そんなかれに思わず苦笑いが溢れた。
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