第2章 美しい嘘つき
ぐっと息を飲みおずおずと木陰から出る。
「天月ちゃんはダメだったけど、ベビちゃんは楽しませてくれるよね」
そう言いながらニッコリと笑みを深めるフェンさんに苦笑いを浮かべるしかない。
「あはは。さすがはベビちゃんやっぱり面白いねー。はは」
「やめてください」
フェンさんから逃げようとすれば、腕を掴まれ膝上に乗せられた。
「え、ちょっ!」
「可愛いよ。ベビちゃん」
葵は苦笑いを溢す。
「おい、何をしている」
「ガイさん……」
いつの間にかフェンさんの前に立っていたガイさんは、鋭くフェンさんを見据えていた。
「その女を渡せ」
「えー、どうしようかなあ」
「チッ!」
舌打ちをしたかと思うと、フェンさんの膝の上から引き摺り下ろされる。無理やりかつ強引に引っ張られながらフェンさんを見ると、頑張ってというように手を振っていた。
「ヒィー! 助けてくださいーーー」