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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第23章 番外編 とある少女Aの独白






こんなに聡い彼女が何故?と思っていたけれど、それが彼女なりの自分の心に対しての防衛の仕方だったのだ。


分かるからと言って、不躾に人の気持ちを悟ってしまうのは本当に申し訳ないから、と彼女はなんでもない事のように少し微笑んだけれど、私はそんな事よりも、分からなくても良い他人の心の機微を否応なしに悟ってしまう、そんな彼女の方こそ大丈夫なのかと心配になってしまった。



周りに目を向ければ、沢山の感情という情報が頭に流れ込んで、知りたくもない思いすら読み取ってしまうのだろう。
他人の気持ちなんて、人並みにしか分からない私でも、時々他人から垣間見えるその感情に辟易したり、落ち込んだりするのに。それよりも沢山の気持ちを受け取ってしまう彼女は、それをどう耐えているのだろうか。


それならそれで、自分のことをもっと考えればいいのに、それなのに、彼女は視えてしまって申し訳ないとそれでも他人のことを考える。



あぁ、それはそうだろう。
だって一緒に過ごしてきて思う、彼女はそういう子だ。



何となく、月島の行動に対する気持ちがわかってしまったかも。


あんな風に、彼女の周りに群がろうとする奴らに目を光らせて、器用な月島はそれを彼女に悟らせないように上手に隠す。
月島が、彼女についてどこまで知っているのかは分からない。
もしかしたら、この事を知っているのかもしれないし、知らないかもしれない。

でも、本当によく気持ちが分かるよ。


だって、こんな困った目だけれど、こんな風に表情で悩む私の気持ちが分かるのなら、あって本当に良かっただなんて、そういってこちらを向いて微笑む彼女を見たら、もうどうやってこの気持ちを表したらいいのか本当にわからない。
ただ、胸がギュッと痛くなって叫びたくなる程のこの激情がジリジリと胸を焦がすのだ。

そんな彼女に対する自分のこの気持ちを知ってしまったら、ただ人にばかり気を向ける彼女に、私こそが報いてあげたいと、烏滸がましくもそう思ってしまう。



それが月島にとって、きっとあの行動だった。



そして多分、これからの私にとっても。


彼女の周りに人が群がって、彼女を困らせるくらいなら私が守る。




とは言え、月島に関して言えば、彼女に好意を寄せているからこその行動だということも加味するべきだとは思うけれど。






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