第10章 Chapter 9
今まさにデーダンに会心の一撃を与えようとしていたバッターの前に立った
バッターは反応が遅れたのか慌てた様子で腕を振り下ろした
強い衝撃が頭を順に体を襲い目の前が暗くなった
熱くて痛かったが何故かデーダンが死なないという確信があった
よかった、そう思いながら意識を手放した
また暗い世界に来てしまった
しかしこれは夢の中なのだと不思議と確信できた
ふわふわとした感覚で何かに導かれるように暗闇の中を進んだ
瞬きをした瞬間、暗闇から明るい世界に出た
風が心地よく吹いており空は薄紫で染まっていた
地面は黒い床で不思議な模様が描かれていた
そして目の前には女性が立っていた
女性の背後には気味ような物体がいくつも浮いておりふわふわと上下に動いていた
呆然としているプレイヤーに向かって女性は口を開いた
「私の大切な子供を守ってくれてありがとう…」
言った言葉に理解ができなくて口を開いたが声がでなかった
それでも必死に口を動かして質問をした
「大丈夫…あなたを死なせやしないわ」
女性はプレイヤーに近づきそっと頬を撫でた
ゆっくりと撫でた後離れてほほ笑んだ
「目を覚ました頃にはあなたはきっとよくなっているはずよ」
ぼやけていく世界に無性に泣いてしまう
母親のような温かさを感じて涙が止まらなくなった
この女性はきっと…
「私の子供たちをよろしくね…」
最後に聞こえたのはその言葉だった
目を覚ました時 自分の目が湿っていることに気が付いた
あれは夢であり現実でもあったのだと分かると体が少し震えた
周りを見てみると隣にデーダンが座っていて眠り込んでいた
よく見てみるとデーダンの膝に白い猫が鎮座していた
「ご機嫌用、みすぼらしい不思議な生物よ」
猫は起きた私に気が付いたのか話しかけてきた
ジャッジでもないこの猫は恐らくヴァレリーだ
「我が名はヤフェト
貴様のくだらない名はなんという?」
そうか…中身はヤフェトだったか
口が悪いのは置いておき、本に囲まれているここは恐らく図書館だ
どうやら私はZONE2に居るらしい
「聞いているのか?」
「ああ…すみません…ちょっと夢から覚めなくて…」
ヤフェトはつまらなそうに鼻を鳴らした
そして「貴様から聞きたい情報を残らず搾り取らせてもらおう」と言ってこちらの膝に乗り移った