• テキストサイズ

【FHQ】勇者の物語

第2章 第2の故郷


「母さんとナツ。生きてるかなぁ……」

思わず出た。無意識だった。本当に何も考えずに出てきた。

だから、また胸が痛くなる。

父さん…………

赤い日の光景がまた返ってきた。

そして、俺にある考えを植え付けた。

これが最善策とも言えない。最適解じゃないかもしれない。

それでも心に根付いて、離れない。

頭に残って、他の事に考えが行かない。

「アオネさん」

下を向いていても、向かい側から視線を感じる。

「俺……」

しっかり聞いてくれてる。だから信じて打ち明ける。

俺の今の考え。

「強くなって、あの魔王に復讐する」

部屋が一気に静かになった。

木の葉の擦れる音が止む。
多分ヤチさんのものであった何かの音もしなくなった。

耳の奥が痛くなるような静けさの中。

アオネさんの声が聞こた。

「お前がそう決めたのなら」

…………俺は付いていく。

そう言ってくれたような、気がした。

部屋に音が戻って顔を上げると、俺に優しい目を向けるアオネさんが座っていた。

俺が今言える事はこれくらいだ。

「ありがとう」





しばらくすると、ヤチさんが部屋に現れた。


/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp