• テキストサイズ

【FHQ】勇者の物語

第2章 第2の故郷


宿の食堂で今日初めての食事をする。

ヤチさんは俺とアオネさんの料理を出して、少し離れたテーブルに座った。

「ヤチさん、何でそんな遠い所で食べるの?一緒に食べようよ」
「は!そんな恐れ多い!村人Bは主人公には関われないものなので」

何の事だろう?

「何の事言ってるか分からないけど、他に人も居ないし、3人で食べようよ!」
「3人……そう、ですね。では、お言葉に甘えて……」

ヤチさんはおずおずと料理の乗ったプレートを持って移動してきた。
何をそんなに怯えているんだろう。

俺は少し違和感を感じつつも料理を一口食べて

「これめっちゃうまい!ヤチさんが作ったの!?」
「ひゃい!僭越ながら!」
「すげぇ!何て料理?」
「えっと、枝豆とモヤシとベーコンを塩胡椒で炒めただけで、大層な名前はついてないです」

ヤチさんは相変わらず子ウサギみたいに小刻みに震えてる。
同い年なのにここまで違うと尊敬しちゃうなぁ。

俺がヤチさんに烏野村について聞いてみようと口を開くと、食堂の人が一気に増えた。

「やっちゃーん!お野菜持ってきたよー!」

スガワラさんが大きな籠を持って派手に登場した。

「俺たちが獲ってきた猪肉もあるぜ!」
「しかも3匹!」

坊主のお兄さんと髪が逆立ったお兄さんが、血抜きされた猪を担いで来た。
あの2人、どこかで……?

ヤチさんは騒がしく入ってきた3人の男に急かされて厨房に入っていく。
直後、また1人増えた。

「コラ!お前ら!静かにしろ!」

さっきの門番さんだ!

門番さんは俺とアオネさんに気づくと近寄ってきた。

「お前ら、しっかり休めてるか?」
「はい!おかげさまで!」

アオネさんも頷いた。

門番さんは、はははと笑うと申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「すまん。ちょっと……いや、かなり騒がしくなるが、気にしないでほしい」
「大丈夫ですよ!俺、賑やかなの好きです!」

俺が笑って見せると、門番さんは安心したように笑った。

門番さんはサワムラさんって名前なんだって。


/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp